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京友禅の伝統資産をNFTでデジタル資産へ転換。日本の様式美を描いた草稿が、未来のアートを生み出す源泉となる。

Art | 2022.02.14

Text by Hinata official

  • KYO"NEXT"YUZEN
  • Project

日本の雅を、着物文化を通じて支え続けた京友禅。
その基となるデザイン画「草稿」には、連綿と受け継がれた様式美が凝縮されています。

京友禅は、京都で作られている伝統工芸品のひとつで、絹の生地に花鳥風月など日本の伝統的な意匠を描き、様々な染色技法で染め上げる、煌びやかな染色品。そこから、着物を始めとする日本の伝統的な衣装が作り出されます。

その歴史は、日本において町人文化が栄えた元禄時代(江戸時代前期、1600年後半〜1700年初頭)に京都の扇絵師・宮崎友禅斎によって考案されたのが始まりとされています。
人気絵師であった宮崎友禅斎の画風を、古くから伝わる様々な染色技術で着物の模様染めに活かされたのが始まり。白絹生地に山水花鳥風月などを描いた京友禅は日本の着物の代名詞であり、優美で多彩、気品高いその色柄には、悠久の歴史に育まれた美と技が息づいています。

着物を始めとする京友禅の絵柄の基となる原寸大のデザイン画「草稿」に描かれています。
一般的に、草稿を目にすることはありませんが、そこに描かれているデザインには、古来から連綿と受け継がれてきた様式美が凝縮されています。

独特の進化を遂げた様式美は、デジタルの世界で新たなアートを生み出す可能性を持っています。

我々が目にしている京友禅の多くは伝統工芸品として、沢山の職人の技術による分業制の中、数十の工程を経て完成する一つのアート作品です。
故に最初の工程でデザインを決める「草稿」は着物が完成した後、工房内の保管室に眠り、その役目を終了します。しかし、草稿に描かれている様式美は、世界に誇れる日本の美として高い芸術性を持っています。

さらに草稿は未完成だからこそ、無限の可能性を持っています。
描かれたデザインから職人の技術が集結され伝統工芸品ができるように、その草稿を扱う人物や工程によって、生み出されるアートは多様になり、デジタルでこそ広く発信することができ、その可能性や価値を高められるのではないかと考えています。

京都「株式会社 関谷染色」とともに、京友禅の芸術性を世界に発信。
新たな感性とのコラボレーションで、世界を創造していきます。

HINATAは、京都・洛中で120年以上、京友禅を受け継いできた「株式会社 関谷染色」とともに、同社が所蔵する京友禅のデザイン画である「草稿」をNFT化。デジタルアートとして世界に発信していくプロジェクト「KYO”NEXT”YUZEN」を開始します。

関谷染色は、京友禅の技法である「手描友禅」を基本とした友禅染を、永きにわたり作り続けてきました。
手描友禅は最大で20もの工程を経て完成する、一大アート。その美の基となる草稿は、そのままでも芸術的価値は高く、そこから作られた着物がすでに現存しない草稿も多く、希少性の高いアートでもあります。

我々は草稿というアートを、そのままの姿で世に広めるだけでは無く、そのデザインをデジタルで国内外のアーティストやクリエイターに提供し、今までにはなかった新たな作品やコミュニティを生み出そうとしています。

京友禅という極めてアナログ的な伝統工芸がNFTという技術を纏い、新たな感性とともにデジタルでどのような世界を創り出していけるのか、どのように進化するのか—。
脈々と受け継がれた伝統美が、新しい世界の創造にインスピレーションを与えていきます。

※関谷染色「草稿」NFTの商用利用・二次創作についての利用規約

失われていく、美の伝統資産。
デジタルでの保存は、その価値や情報を正しく残すことが重要です。

今回のプロジェクトの目的は、伝統工芸のアップデートだけではありません。
京友禅の文化資産である「草稿」を保存することも、我々の重要な使命です。

友禅の草稿は紙に描かれているもので、数十年以上経つと大きく劣化していき、全てが美術館のような徹底した保存管理がされているわけでは無く、多くは破損し消失してしまいます。
この資産をデジタルデータとして保存することも、プロジェクトの目的です。

しかし、ただ単にデジタルスキャンした画像データを残すのではなく、その価値を後世に伝えるため発行元や作品の情報を正しく記録することが重要。NFTのブロックチェーン技術により、改ざん不可能なデータとして残していく事ができるようになります。

我々が、このプロジェクトでめざすのは、伝統美を紡いできた過去のクリエイター達をリスペクトしながら、現代のクリエイターに繫いでいくこと。
それは、工芸品という完成されたプロダクトではなく、美の生まれるプロセスの始まりとなる草稿だからこその意義があるのでは無いかと考えています。

また、今回のプロジェクト通じ創造的なコミュニティが生まれることで、廃れていく芸術文化を新たな形で継続することができ、サスティナビリティな世の中に貢献できると考えています。


株式会社 関谷染色

創業1897年。京都・洛中の地で、京手描友禅の歴史と伝統を継承してまいりました。
『着物は世界一の民族衣装』という理念のもと、日本が古来より持つ「美しさ」の追求を続け、新たな京友禅の在り方をデジタルの領域でも開拓していきます。

〒602-8024 京都市上京区室町通丸太町上る大門町259
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